インビザラインのゴムかけが難しいときは?うまくいかない原因別のコツと続けるための工夫を解説
「ゴムかけを始めたけれど、うまくかけられない」「毎回時間がかかって続けられる気がしない」。インビザライン治療中の患者様から、こうしたお声をいただくことは少なくありません。
先にお伝えしたいのは、ゴムかけを難しいと感じるのは珍しいことではない、ということです。小さなゴムを口の中の決まった位置にかける作業ですから、最初からスムーズにできる方のほうが少ないくらいです。多くの場合、鏡を見ながら練習することで数日から約2週間ほどでコツをつかんでいかれます。
この記事では、ゴムかけがうまくいかない原因を「かけ方の難しさ」「外れる・切れる難しさ」「続ける難しさ」の3つに分けて整理し、それぞれの対処法をご紹介します。あわせて、やってはいけないことと、通院時にどう相談すればよいかもお伝えします。なんば駅から徒歩1分のCuore矯正歯科が解説します。
ゴムかけを「難しい」と感じるのは珍しいことではありません
難しさは3つのタイプに分けられます
ひとくちに「ゴムかけが難しい」といっても、つまずいているポイントは患者様によって異なります。まずはご自身がどのタイプに当てはまるかを整理すると、対処法が見つけやすくなります。
| タイプ | 主な内容 | 解決の方向性 |
|---|---|---|
| かけ方の難しさ | 指が届かない、ゴムが飛ぶ、位置が分からない | 道具と手順を変えることで軽くなる場合があります |
| 外れる・切れる難しさ | あくびや会話で外れる、途中で切れる | かけ方と位置の変更で対応 |
| 続ける難しさ | 面倒に感じる、つけ忘れる、時間が足りない | 生活の流れに組み込む工夫が有効です |
※感じ方や慣れるまでの期間には個人差があります。
この記事では、この3つのタイプそれぞれについて具体的な対処法をご紹介していきます。
そもそもゴムかけ(顎間ゴム)は何のために行うのですか?
マウスピースだけでは動かしにくい方向へ力を加えます
ゴムかけとは、上下の歯やマウスピースに小さな医療用のゴムをかけて、歯に補助的な力を加える処置です。「顎間ゴム」「エラスティック」とも呼ばれます。
インビザラインで使用するマウスピースは、歯を水平方向に動かすことを得意としています。一方で、上下方向の調整や、上下の顎の前後関係を整えることは、マウスピースだけでは対応しにくいとされています。ゴムかけは、この部分を補う役割を担っています。
ゴムをかけるための土台として、歯の表面に「ボタン」と呼ばれる小さな突起を付けたり、マウスピースに切り込み(フック)を設けたりします。
すべての患者様に行うわけではありません
ゴムかけは、インビザライン治療で必ず行う処置ではありません。口腔内を確認し、歯並びや噛み合わせの状態、歯の動き方を踏まえて、必要と判断した場合に行います。マウスピースだけで計画通りに進んでいる場合は、使用しないこともあります。
また、使用する場合でも、治療の全期間を通じて行うとは限りません。噛み合わせの調整が必要な段階で用いることが多いとされています。
主なゴムのかけ方
ゴムのかけ方は、整えたい噛み合わせの状態によって異なります。代表的なものを整理しました。
| 種類 | かける位置の考え方 | 主に用いられる場面 |
|---|---|---|
| 垂直ゴム | 上下の同じあたりに縦方向でかけます | 前歯が噛み合いにくい状態の調整 |
| 交叉ゴム | 歯の表側と裏側にまたがってかけます | 上下の歯の位置関係がずれている状態の調整 |
| 2級ゴム | 上の犬歯付近から下の奥歯方向へかけます | 上の前歯が前に出やすい状態の調整 |
| 3級ゴム | 下の犬歯付近から上の奥歯方向へかけます | 下の顎が前に出やすい状態の調整 |
※かける位置や種類は治療計画により異なります。担当の歯科医師の指示に従ってください。
交叉ゴムは表と裏にまたがるため、装着の難易度が上がりやすい傾向があります。ご自身がどの種類を指示されているかを把握しておくと、後述するコツを選びやすくなります。
【原因別】ゴムかけがうまくいかないときの対処法
ここからは、かけ方の難しさについて、よくある原因ごとに対処法をご紹介します。
奥のほうに指が届かない
奥歯側のフックにかけようとして指が届かない場合は、「エラスティックホルダー」と呼ばれる専用の器具を使う方法があります。細い棒の先端にゴムを引っかけて、届きにくい位置まで運ぶための道具です。歯科医院で扱っている場合がありますので、通院時にご相談ください。
また、かける順番を変えるだけで楽になることもあります。奥側のフックに先にゴムをかけ、そこから手前へ引っ張ってかけるほうが、視界も確保しやすく安定する場合があります。
ゴムが指から飛んでいってしまう
ゴムを強く引っ張りすぎると、指先から滑って飛んでしまいやすくなります。片側にかけたあと、ゆっくりと伸ばしながらもう片側へ運ぶことを意識してみてください。
指先が乾いていると滑りやすくなるため、手を洗って軽く水気を残した状態で行うと扱いやすくなることがあります。洗面台の上など、飛んでも探しやすい場所で練習するのもおすすめです。
どこにかけるのか分からなくなる
かける位置を間違えると、計画とは異なる方向に力がかかる場合があります。位置に自信が持てないときは、通院時にスマートフォンで口元の写真を撮らせていただく、または図に書いていただくとよいでしょう。
Cuore矯正歯科では、ゴムかけを始めていただく際に、実際に鏡を見ながら一緒に練習する時間を設けています。分からなくなった場合も、遠慮なくお申し出ください。
かけるときに痛みを感じる
ゴムを勢いよく引っかけると、歯に急な力が加わって痛みを感じやすくなります。ゆっくりと伸ばしながらかけることで、和らぐ場合があります。
なお、ゴムかけを始めた直後は歯に力が加わるため、数日ほど痛みや違和感を覚えることがあります。感じ方には個人差がありますが、強い痛みが続く場合や、特定の歯だけに強く出る場合は、位置が合っていない可能性もありますので、早めにご相談ください。
爪の長さが合わない
爪が長いとゴムをつまみにくく、短いと引っかけにくいと感じる方もいらっしゃいます。この場合も、エラスティックホルダーを使うことで手指の状態に左右されにくくなります。ネイルをされている患者様からのご相談も承っておりますので、お気軽にお知らせください。
ゴムが外れる・切れるときの対処法
正しくかけられていても、日常生活の中でゴムが外れたり切れたりすることはあります。場面ごとの考え方を整理しました。
| 場面 | 起こりやすいこと | 対処の考え方 |
|---|---|---|
| あくび・大きく口を開ける | ゴムが伸びて外れる | かけ直せば問題ありません。頻繁な場合は位置の確認を |
| 会話中 | ゆるむ、外れる | 外れたら早めにかけ直しましょう |
| 就寝中 | 気付かないうちに外れる | 朝の歯磨き時に新しいゴムへ交換しましょう |
| 食事 | ゴムが切れる場合がある | 食事の際はマウスピースとあわせて外してください |
| 1日の途中 | ゴムがゆるんでくる | 1日1回以上、新しいゴムに交換しましょう |
外れたときはどうすればよいですか
気付いた時点で、新しいゴムに付け直していただければ問題ありません。一度伸びてしまったゴムは力が弱まっている場合があるため、無理に再利用せず交換することをおすすめします。
外れることが1日に何度もある場合は、かける位置やゴムの種類が合っていない可能性があります。我慢して続けるよりも、通院時にお伝えいただくほうが解決につながりやすくなります。
外出先に備えて予備を持ち歩きましょう
小さなケースに数個入れて、鞄やポーチに入れておくと安心です。切れてしまったときにその場で交換でき、装着できない時間を短くできます。
装着時間が続かないときの工夫
「かけ方は分かったけれど、1日約20時間という時間が続かない」というお悩みもよくいただきます。ここでは続けるための工夫をご紹介します。
「外す時間」から考えると続けやすくなります
1日約20時間と聞くと長く感じますが、見方を変えると「外してよい時間が約4時間ある」ということでもあります。実際の1日を並べてみると、次のようなイメージになります。
| 時間帯 | ゴムの状態 | 目安 |
|---|---|---|
| 起床後〜朝食 | 外す(歯磨き・食事) | 約1時間 |
| 朝食後〜昼食前 | 装着(新しいゴムに交換) | — |
| 昼食 | 外す | 約1時間 |
| 昼食後〜夕食前 | 装着 | — |
| 夕食 | 外す | 約1時間 |
| 夕食後〜就寝・睡眠中 | 装着 | — |
※あくまで一例です。生活リズムにより異なります。
このように、食事と歯磨きの時間だけ外すようにすれば、1日約20時間は無理なく確保できる計算になります。「装着し続ける」と考えるより、「食事のときだけ外す」と捉えるほうが、負担を感じにくくなる患者様が多いようです。
生活の流れに組み込みましょう
「歯磨きをしたらマウスピースとゴムを装着する」というように、すでにある習慣とセットにすると、つけ忘れが減りやすくなります。歯ブラシの横にゴムのケースを置いておくなど、目に入る場所に置いておくのも有効です。
スマートフォンのリマインダーを活用しましょう
慣れるまでの期間は、決まった時間に通知が届くよう設定しておくと安心です。装着した時間を簡単に記録しておくと、通院時にご自身の状況を正確にお伝えでき、治療計画の調整にも役立ちます。
装着時間が足りない日があっても、そこで止めないことが大切です
できなかった日があると気持ちが落ちてしまうこともあるかもしれませんが、翌日から再開していただければ問題ありません。装着時間が不足すると歯の動きが計画とずれ、治療期間が延びる場合がありますが、途中で完全にやめてしまうよりも、続けられる範囲で再開するほうが結果につながります。
安全に続けるために、避けていただきたいこと

インターネット上には自己流の工夫が紹介されていることもありますが、なかには装置や歯に負担がかかる可能性のある方法も含まれています。次の点にはご注意ください。
マウスピースやフックをご自身で加工しない
「ゴムが引っかかりにくいから」と、ご自身でマウスピースの切り込みを深くするような加工は避けてください。マウスピースは口腔内を確認したうえで治療計画に沿って作成しているものです。形状を変えると、歯に加わる力が計画と変わってしまう場合があります。引っかかりにくいと感じる場合は、加工せずご相談ください。
市販の輪ゴムなどで代用しない
顎間ゴムは、力の強さと衛生面を考慮した医療用のものです。市販の輪ゴムは力の強さが異なり、口腔内で使用する前提でも作られていません。ゴムが足りなくなった場合は、通院時にお受け取りいただくか、事前にご連絡ください。
本数を増やして力を強めない
「早く進めたいから」と2本重ねてかけると、想定より強い力が加わり、歯や歯ぐきに負担がかかる場合があります。矯正治療では、弱い力を長く安定してかけることが基本とされています。本数や種類は指示された通りにお使いください。
自己判断で長期間中断しない
難しいと感じて数日おやすみすること自体は、次の通院時にお伝えいただければ対応できます。ただし、伝えないまま長期間中断すると、歯の動きと治療計画のずれが大きくなる場合があります。
それでも難しいときは、通院時にお伝えください
ゴムかけの難しさは、患者様の努力だけで解決するものとは限りません。かける位置、ゴムの種類、フックの位置などを調整することで、負担が軽くなる場合があります。
そのままお使いいただける相談の伝え方
「できていない」とお伝えするのは気が引けるかもしれませんが、実際の状況を正確に共有していただくほうが、治療計画を調整しやすくなります。次のような伝え方が参考になります。
- 「奥のフックに指が届かず、かけるのに毎回約5分かかっています」
- 「あくびをすると外れてしまい、1日に3回ほどかけ直しています」
- 「装着時間が1日約15時間ほどになってしまっています」
- 「右側だけ、かけると強い痛みが出ます」
- 「仕事中に外れると付け直せず、日中は外れたままのことがあります」
できている前提でお話が進むと、実際の歯の動きと計画がずれた理由が分からないまま治療が進むことになります。数字を添えてお伝えいただけると、より具体的な対応をご提案しやすくなります。
ほかの医院で治療中の患者様のご相談も承っております
Cuore矯正歯科では、開院当初から治療途中の受け入れやセカンドオピニオンのご相談を承っております。「相談しにくい」「このまま進めてよいのか分からない」といったお悩みも、無料カウンセリングでお聞かせください。カウンセリングのみのご利用でも構いません。
ゴムかけの期間・費用・注意点について
ゴムかけを行う期間の目安
ゴムかけを行う期間は、噛み合わせの状態によって幅があります。約1か月ほどで終わる場合もあれば、約半年以上続く場合もあります。実際にどのくらい必要かは、精密検査を行い、歯の動き方を確認しながら判断していきます。
また、開始する時期も一律ではありません。治療の後半で行うことが多いとされていますが、噛み合わせのずれが大きい場合には、比較的早い段階から始めることもあります。
費用について
Cuore矯正歯科のマウスピース矯正は、16.5万円(税込)〜88万円(税込)が目安です。毎回の調整料や管理費は別途いただいておらず、治療開始前に総額をご提示しています。顎間ゴムの費用も治療費に含まれておりますので、ゴムかけが必要になったことで追加費用が発生することはありません。
治療期間・通院回数の目安
治療期間は約半年〜約3年、通院は約1か月〜約3か月に1回程度が目安です。いずれも歯並びの状態や治療範囲によって異なります。
リスク・副作用について
ゴムかけを含む矯正治療には、次のような点があります。あわせてご確認ください。
- ゴムかけを始めた直後は、痛みや違和感を覚える場合があります。感じ方には個人差があります。
- ゴムやマウスピースの装着時間が不足すると、歯の動きが計画とずれ、治療期間が延びる場合があります。
- 指示と異なる位置にかけた場合、意図しない方向に歯が動く場合があります。
- ゴムをかける部分に、粘膜の擦れや違和感が生じる場合があります。
- 歯磨きが不十分な場合、むし歯や歯ぐきの炎症が起こる場合があります。
- 歯を動かす過程で、歯根が短くなる、歯ぐきが下がるなどの変化が起こる場合があります。
- 症例によっては、マウスピース矯正のみでの対応が難しく、ほかの治療方法を併用またはご提案する場合があります。
- 治療後は歯が元の位置に戻ろうとする性質があるため、リテーナーの使用が必要です。
- 矯正治療は保険適用外の自由診療です。
よくあるご質問
Q. ゴムかけはどのくらいで慣れますか?
A. 多くの場合、数日から約2週間ほどで慣れていくとされています。ただし、かける位置の種類や手指の状況によって個人差があります。鏡を見ながら毎回同じ手順で行うと、感覚をつかみやすくなります。
Q. ゴムかけを1日忘れてしまいました。治療に影響しますか?
A. 1日であれば、翌日から再開していただければ大きな問題になりにくいとされています。ただし、忘れる日が続くと歯の動きが計画とずれる場合がありますので、頻度が増えてきた場合は通院時にお伝えください。
Q. ゴムが目立つのですが、外してもよいのでしょうか?
A. 短時間であれば差し支えない場合があります。写真撮影やプレゼンテーションなど限られた時間であれば取り外せるかどうか、担当の歯科医師にご確認ください。なお、目立ちにくい色のゴムを選べる場合もあります。
Q. 寝ている間もゴムをかけたままでよいのですか?
A. はい、就寝中も装着していただくことが一般的です。まとまった装着時間を確保しやすい時間帯でもあります。朝起きたときに外れていた場合は、歯磨きのあとに新しいゴムへ交換しましょう。
Q. どうしても難しく、続けられる気がしません。
A. まずは通院時にその旨をお伝えください。かける位置やゴムの種類、フックの位置を調整することで負担が軽くなる場合があります。あわせて、ほかの治療方法についてもご説明できますので、無料カウンセリングでご相談ください。
まとめ
インビザラインのゴムかけを難しいと感じるのは、決して珍しいことではありません。小さなゴムを口の中の決まった位置にかける作業ですから、慣れるまでに時間がかかるのは自然なことです。
うまくいかないときは、「かけ方」「外れる・切れる」「続けられない」のどこでつまずいているのかを整理してみてください。かけ方であればエラスティックホルダーや順番の工夫、外れる場合は早めのかけ直しと予備の携帯、続けられない場合は食事のときだけ外すという捉え方と、それぞれに対処の方向性があります。
一方で、ご自身でマウスピースを加工する、市販の輪ゴムで代用する、本数を増やすといった対応は、歯や装置に負担がかかる場合があるため避けてください。
そして何より大切なのは、難しさを抱え込まずにお伝えいただくことです。かける位置やゴムの種類を調整することで、負担が軽くなる場合があります。Cuore矯正歯科では、口腔内を確認し、歯並びや噛み合わせの状態を把握したうえで、費用・治療期間・注意点をご説明しながら治療を進めています。ほかの医院で治療中の患者様のご相談も承っておりますので、まずは無料カウンセリングでお聞かせください。