マウスピースで開咬になった?原因・対処法・再治療の方法まで詳しく解説
「マウスピースを使っていたら、前歯が噛み合わなくなってきた」「矯正中なのに、奥歯でしっかり噛めない気がする」このような症状に不安を感じている方は少なくありません。
マウスピース矯正の治療中や、歯ぎしり防止用のマウスピースを使用している最中に、上下の歯が正しく噛み合わなくなる「開咬(かいこう)」と呼ばれる状態になることがあります。開咬はオープンバイトとも呼ばれ、放置すると食事や発音、さらには顎関節にまで影響を及ぼす可能性があります。
この記事では、マウスピースの使用によって開咬が生じる原因から、具体的な対処法、再治療の方法、そして再発を防ぐためのポイントまで、詳しく解説します。現在お悩みの方はもちろん、これからマウスピース矯正を検討されている方もぜひ参考にしてください。
マウスピースで開咬(オープンバイト)になるとはどういう状態?
開咬(オープンバイト)とは、奥歯を噛み合わせたときに上下の前歯が接触せず、隙間ができてしまう噛み合わせの状態を指します。通常、歯を閉じたときには上の前歯が下の前歯に約2~3mm被さるのが理想的な状態ですが、開咬の場合はこの前歯同士が触れ合いません。
開咬になると、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなったり、サ行やタ行の発音が不明瞭になったりすることがあります。また、奥歯にばかり負担がかかるため、奥歯の寿命が短くなるリスクも指摘されています。
マウスピースとの関連で開咬が問題になるケースには、大きく分けて2つのパターンがあります。1つは矯正治療用のマウスピース(インビザラインなど)を使用中に一時的または持続的に開咬が生じるケース、もう1つは歯ぎしり防止用の市販マウスピースを使い続けることで開咬が生じるケースです。
▶関連記事:オープンバイトは歯列矯正で治せる?原因・治療法をわかりやすく解説
マウスピースで開咬になる主な原因
マウスピースを使用して開咬になる原因は1つではありません。ここでは、代表的な原因を詳しく見ていきましょう。
マウスピース矯正中に奥歯が沈み込む(圧下)
マウスピース矯正(インビザラインなど)では、治療中に奥歯が歯茎の方向へ沈み込む「圧下」という現象が起こることがあります。これはマウスピース矯正特有の傾向で、マウスピースが歯全体を覆う構造であるために、噛む力が加わったときに奥歯を歯茎側に押し込む力が働くためです。
奥歯が沈み込むと、相対的に前歯の隙間が広がり、開咬のような状態になることがあります。多くの場合、これは治療過程における一時的な現象であり、治療の後半で改善されるよう計画されています。しかし、計画通りに進まない場合には、開咬が残ってしまうこともあります。
マウスピースの装着時間が不十分
マウスピース矯正では、1日20~22時間以上の装着が推奨されています。装着時間が不十分だと、歯が計画通りに動かず、噛み合わせに想定外のズレが生じることがあります。
特に、マウスピースを外している時間が長いと、一部の歯だけが動いたり、動くべき歯が十分に移動しなかったりして、結果的に開咬のような噛み合わせの不具合につながる可能性があります。装着時間の管理はマウスピース矯正において非常に重要なポイントです。
治療計画と実際の歯の動きにズレが生じている
マウスピース矯正では、コンピューター上で歯の移動をシミュレーションし、それに基づいてマウスピースが設計されます。しかし、実際の歯の動きがシミュレーション通りにいかないケースもあります。
たとえば、歯根の形状や骨の硬さ、歯周組織の状態によっては、計画よりも歯が動きにくかったり、意図しない方向に動いてしまったりすることがあります。このようなズレが蓄積すると、噛み合わせに問題が生じ、開咬の状態になることがあるのです。
市販の歯ぎしり用マウスピースによる影響
矯正用ではなく、薬局やインターネットで購入できる歯ぎしり防止用のマウスピースが原因で開咬になるケースも報告されています。
既製品のマウスピースは個人の歯型に合わせて作られていないため、長期間使い続けると噛み合わせに変化が生じることがあります。特に、マウスピースの厚みによって奥歯だけが持ち上げられた状態が続くと、次第に前歯が噛み合わなくなっていくことがあるのです。一度開咬になってしまうと、マウスピースの使用を中止しても自然には戻りにくいため、注意が必要です。
マウスピース矯正中の開咬は一時的なもの?
マウスピース矯正中に「奥歯が噛めなくなった」「前歯に隙間ができた」と感じることは、実は珍しいことではありません。
前述の通り、マウスピースは歯全体を覆う構造のため、装着中は上下に合計約1mmほどマウスピースの厚み分だけ噛み合わせが浮いた状態になります。この影響で、治療序盤~中盤にかけては「奥歯が噛めない」「口が閉じにくい」と感じる方が一定数いらっしゃいます。
多くの場合、これは治療計画の中で想定されている一時的な状態であり、治療の後半に入るとマウスピースの設計によって噛み合わせが改善されていきます。また、治療後にリテーナー(保定装置)を適切に使用することで、奥歯の噛み合わせが安定していくケースが一般的です。
ただし、治療開始から半年以上経っても改善の兆しがない場合や、食事に大きな支障をきたしている場合は、治療計画の見直しが必要になる可能性があります。気になる症状がある場合は、早めに担当の歯科医師にご相談ください。
開咬を放置するとどうなる?知っておきたいリスク
開咬の状態を放置してしまうと、以下のようなリスクが生じる可能性があります。
前歯で食べ物を噛み切れない
上下の前歯が接触しないため、麺類や肉、野菜などを前歯で噛み切ることが困難になります。結果として奥歯ばかりに負担がかかり、奥歯の摩耗が進行しやすくなります。
発音への影響
特にサ行・タ行の発音が不明瞭になることがあります。前歯の隙間から息が漏れるため、話し方にコンプレックスを抱えてしまう方もいらっしゃいます。
顎関節への負担
噛み合わせが不安定な状態が続くと、顎関節に過度な負担がかかり、顎関節症を発症するリスクが高まります。口を開けるときに痛みやカクカクとした音が出る場合は、早めの対処が望ましいです。
奥歯の寿命への影響
開咬の方は奥歯に噛む力が集中するため、奥歯の破折やすり減りが進みやすくなります。8020運動(80歳で20本の歯を残す)の達成率が低いという統計データも報告されています。
口呼吸の習慣化
開咬の方は口が閉じにくくなるため、口呼吸が習慣化しやすくなります。口呼吸は口腔内の乾燥を招き、虫歯や歯周病のリスクを高めることにもつながります。
マウスピースで開咬になったときの対処法
マウスピースの使用中に開咬の症状を感じたら、どのように対処すればよいのでしょうか。状況別に具体的な対応策をご紹介します。
まず担当の歯科医師に相談する
最も大切なのは、自己判断でマウスピースの使用を中止したり、装着スケジュールを変更したりしないことです。開咬の症状に気づいたら、できるだけ早く担当の歯科医師に相談しましょう。
矯正治療中の場合、開咬の状態が治療計画の範囲内なのか、それとも想定外のトラブルなのかは、歯科医師でなければ判断が難しいものです。現在の歯の動きが計画通りに進んでいるかどうかを確認してもらい、必要に応じて治療計画の修正を検討してもらいましょう。
セカンドオピニオンを検討する
担当の歯科医師に相談しても不安が解消されない場合や、「治療を最後まで続ければ噛めるようになる」と言われたものの状況が改善しない場合は、セカンドオピニオンを求めることも大切な選択肢です。
別のクリニックで現在の噛み合わせの状態を診てもらうことで、客観的な意見を得ることができます。セカンドオピニオンは決してネガティブなことではなく、患者様ご自身が納得して治療を進めるための前向きな行動です。
治療計画の見直し・装置の変更
マウスピース矯正で開咬が改善しない場合、治療計画の再設計やマウスピースの再製作を行うことがあります。また、ケースによってはマウスピース矯正からワイヤー矯正への切り替え、あるいは両方を併用するハイブリッド矯正への移行が提案されることもあります。
市販の歯ぎしり用マウスピースが原因の場合は、使用を中止し、歯科医院で患者様の歯型に合ったオーダーメイドのマウスピースを作製してもらうことをおすすめします。
開咬の再治療・改善にはどんな方法がある?
マウスピースの使用によって開咬になってしまった場合や、もともと開咬の症状がある場合の主な治療方法をご紹介します。
マウスピース矯正(インビザライン)での改善
インビザラインは、実は開咬の治療を得意とするマウスピース矯正として知られています。これは、マウスピース矯正で自然に起こりやすい「奥歯の圧下(沈み込み)」という動きが、開咬の治療においてはプラスに作用するためです。
ワイヤー矯正では技術的に難しかった奥歯の圧下が、マウスピース矯正では比較的容易に実現できるため、軽度~中等度の開咬であればマウスピース矯正だけで改善できるケースも多くあります。治療期間は症例にもよりますが、約1~2年程度が目安です。
ワイヤー矯正での改善
重度の開咬や骨格的な要因が大きい場合は、ワイヤー矯正が適していることもあります。ワイヤー矯正は歯を3次元的に精密にコントロールできるため、複雑な噛み合わせの問題にも対応しやすいのが特徴です。
特に、顎間ゴム(エラスティック)を併用することで、上下の歯を引き寄せて前歯の噛み合わせを改善することが可能です。治療期間は約1年半~3年程度が一般的な目安とされています。
ハイブリッド矯正(併用)での改善
マウスピース矯正とワイヤー矯正を組み合わせた「ハイブリッド矯正」も、開咬の治療において有効な選択肢です。たとえば、まずワイヤー矯正で大まかな歯の移動を行い、その後マウスピース矯正で仕上げの微調整を行うといった方法が取られることがあります。
Cuore矯正歯科でもハイブリッド矯正に対応しており、患者様の歯並びの状態やご希望に合わせて最適な治療方法をご提案しています。
▶関連記事: インビザラインとは?マウスピース矯正の仕組みや効果をわかりやすく紹介
開咬の再発を防ぐためにできること
開咬は矯正治療の中でも後戻りしやすい症状の1つとされています。治療後に再発を防ぐためには、以下のポイントが重要です。
リテーナー(保定装置)の使用を徹底する
矯正治療が完了した後は、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐために、リテーナー(保定装置)の使用が不可欠です。歯科医師の指示に従い、指定された時間しっかりとリテーナーを装着しましょう。
特に開咬の治療後は後戻りのリスクが比較的高いため、リテーナーの装着期間が長くなることがあります。最初の数か月は1日20時間以上の装着が推奨され、その後は徐々に夜間のみの装着へ移行していくのが一般的です。
MFT(口腔筋機能療法)で舌癖を改善する
開咬の原因として非常に多いのが「舌癖(ぜつへき)」です。舌癖とは、無意識のうちに舌で前歯を押す癖のことで、食べ物を飲み込むときに舌を前に突き出す動作(異常嚥下癖)が代表的です。
せっかく矯正治療で開咬を改善しても、舌癖が残ったままでは再び歯が押し出されて開咬に戻ってしまう可能性が高くなります。MFT(口腔筋機能療法)は、舌や口まわりの筋肉の使い方を正しくトレーニングする方法で、矯正治療と並行して行うことができます。
開咬の患者様はほぼ全員に舌癖が認められるとも言われており、MFTは開咬治療の中でも非常に重要な位置づけとされています。
口呼吸の改善を意識する
口呼吸の習慣がある方は、口が常に開いた状態になるため、舌の位置が下がりやすくなります。本来、舌は上顎に軽く触れている状態(スポットポジション)が理想ですが、口呼吸が続くとこのバランスが崩れ、開咬の再発リスクが高まります。
鼻呼吸を意識することや、就寝時にテープを使って口を閉じる練習をするなど、日常生活の中で改善に取り組むことが大切です。
▶関連記事:開咬矯正の完全ガイド|原因・治療法・費用まで徹底解説
まとめ|開咬でお悩みの方はまず無料カウンセリングへ
マウスピースの使用中に開咬の症状が出ることは珍しくなく、矯正治療中の一時的なものから、治療計画のズレや市販品の長期使用による持続的なものまで、さまざまなケースがあります。大切なのは、症状に気づいたら早めに歯科医師に相談することです。
開咬は放置すると食事や発音、顎関節にまで影響を及ぼすことがあるため、適切な時期に適切な治療を受けることが重要です。現在では、インビザラインをはじめとするマウスピース矯正が開咬治療に適しているとされており、ワイヤー矯正やハイブリッド矯正と組み合わせることで、より効果的な治療が可能になっています。
Cuore矯正歯科では、開咬をはじめさまざまな歯並びのお悩みに対応しており、マウスピース矯正(インビザライン)、ワイヤー矯正、ハイブリッド矯正など豊富な治療メニューをご用意しています。セカンドオピニオンや他院からの転院のご相談も承っておりますので、安心してお越しください。
「自分の開咬はどのような治療で改善できるのか知りたい」「マウスピース矯正中の噛み合わせが気になる」という方は、ぜひ当院の無料カウンセリングにお越しください。なんば駅から徒歩1分とアクセスも良好で、土日も診療しております。患者様の不安を解消し、理想の噛み合わせを一緒に目指していきましょう。